ネズミの被害
一般にドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ等、人間が生活する施設の内外を棲家としているものを家鼠と呼び、中でもドブネズミは屋外に棲むことが多いため、半棲家性鼠と呼ばれたりします。
これに対し、主として山林、原野、耕地に棲むアカネズミ、ハタネズミ、ヤチネズミなどは通常屋内に侵入せず、野鼠として取り扱います。
しかし、家鼠の中には耕地、原野に棲む集団もあり、農作物を加害し、環境が悪くなれば家屋の周辺に集まるものもあります。
したがって、家鼠と野鼠の区別は絶対的なものではありません。駆除を行う場合には、屋内と同時に屋外も行う方がより効果的であると考えられています。
サルモネラ属菌
サルモネラ属菌は数千種類もあり、そのほとんどが中毒症状を引き起こします。
サルモネラ菌属による食中毒は鶏卵やネズミ・ゴキブリが媒介すると言われており、さらに食料品の原材料にも寄生するため、一度に多数の被害が発生します。
症状は、発熱や嘔吐、下痢を起こすため、重症の場合には死亡してしまうことがあります。
ツツガムシ病
この病原菌(ツツガムシ病リケッチア)は、ダニの一種であるツツガムシが持っています。山林などを歩いている時にネズミや人間に付着し、体液を吸います。
症状は7日から14日で高熱を発し、体に赤い発疹ができ激しい頭痛や腹痛が出る場合があります。
また、治療が遅れると、中には意識不明の重体となり、発症から3週間程度で死亡するケ-スもあります。致死率が高いため、早急な治療が必要です。
レプトスピラ症
主にドブネズミが感染源と言われています。ドブネズミの尿から菌が排出され、尿に汚染された土壌や水から人に皮膚感染します。
この菌の特徴は、水の中でも生きていけるということです。川遊びが原因での集団感染も報告されています。
この菌に感染すると、無症状の場合もありますが、高熱や筋肉痛、黄疸等の症状がでます。
現在の日本では、衛生環境の向上により感染率も著しく低下しましたが、ネズミが室内に出没している等の場合には十分な消毒をお勧めします。
国外では、東南アジアや中南米等亜熱帯地域にて、現在でも流行しています。
鼠咬症(そこうしょう)
鼠咬症(ストレプトバチルスや鼠咬症スピリウム、モニリフォルミスなど)をもったネズミに噛まれると発症する病気です。
ネズミに噛まれてから7日から10日ほどで咬まれた傷跡が赤く腫れ、その腫れが崩れ体中に暗紅色の発疹が現れます。
高熱や頭痛、関節痛が数週間繰り返されたりもします。関節痛は耐えられない程の痛みが伴う場合もあると言われています。
ペスト
ペストは、クマネズミに寄生するノミの体内にあるペスト菌によって発症します。このノミに刺されると一週間程の潜伏期間の後、発症します。
症状は、まず高熱が続きます。その後、めまいを起こしたり、虚脱状態になり皮膚が乾き黒紫色の大きな斑点ができたりします。
この症状は別名「黒死病」と呼ばれています。
1926年以降、日本国内ではペスト患者は発生していないといわれています。しかし、海外旅行等、国外へ行く機会がある方は十分な注意が必要です。